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April 18, 2005

キング・クリムゾンへの過程

ひとつ前の記事で、最初に聴いた(買った)レコードはジェネシス(Genesis)と書きました。その当時は他にもたくさん聴きたいアーティストがあって、それを並べるときりがないのですが・・・当時はヴァージン(Virgin)、ヴァーティゴ(Vertigo)、カリスマ(Charisma)、デッカ/デラム(Decca/Deram)あたりのレーベルに魅力的なアーティストが多く、帯の色で当たりを付けていました。とにかく、聴いてみたいレコードが手に入るペースよりも、知識の方がどんどん先行してしまったようです。そして多くのレコードのサウンドを無意識のうちに想像してしまい、サウンドイメージまで先行していました。そんな先入観が無ければ、新しいものを聴く度にもっと感動出来たと思うんですけどねぇ(笑)。それでも最初の方に買ったレコードというか、累計所有枚数が少ないうちは、四六時中そればかり聴くわけですから、イヤでも愛着が湧いてしまいます。

三部作の頃のジェネシスのサウンドは、キング・クリムゾン(King Crimson)、ジェスロ・タル(Jethro Tull)、プロコル・ハルム(Procol Harum)などの要素を持っていたと言われており、特にクリムゾンってどんな音を出すバンドなんだろうと興味津々でした。当初の先入観としては、非常にダークで混沌とした雰囲気の強靭なサウンドを展開するバンドというイメージだったと思います。最初に買うレコードは『クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of Crimson King)』しかないと既に決めていましたが、その前にクリムゾンの結成母体と言われていた、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ(Giles, Giles & Fripp)も聴いてみたいという思いもあり、ちょっと迷っていました。何せレコードを1枚買うとその月の小遣いが無くなりますから、レコード選びは慎重にならざるを得ません(笑)。

結局GG&Fを先に聴きました。ちょうどその頃1500円シリーズのLPが出ていたんです。おそらくクリムゾンよりも先にGG&Fを聴いた人なんて、世の中にほとんど居ないんでしょうね。ライナーの書き方もクリムゾンのことを知らないでこのレコードを買うなんてことは想定していないような感じでした。まあ当然といえば当然でしょうね。知識が先行していたことによる弊害です(笑)。

『ザ・チアフル・インサニティ・オブ・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ(The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp)』を最初に聴いた印象は「非常にセンスの良いビートルズ(Beatles)のようなサウンドだな」でした。ジャケットの雰囲気からしてクリムゾンとは全く違っていましたし・・・全体的には、ロバート・フリップ(Robert Fripp)の非常にほのぼのとしたトーンのギターと、ジャズ・フィーリング溢れるジャイルズ兄弟のリズムセクションをバックに、ロドニーという醜く太った若者の物語をビートルズ風に歌い上げるという感じです。マイケル・ジャイルズ(Michael Giles:ドラムス)の声がちょうどジョン・レノン(John Lennon)に似ているんですよね。

このアルバムのリリース後にイアン・マクドナルド(Ian McDonald)、ジュディ・ダイブル(Judy Dyble)、ピート・シンフィールド(Pete Sinfield)が加入しており、そのあたりの音はGG&Fのリマスター盤に入っているボーナストラックや、『ブロンズベリー・テープス(Brondesbury Tapes)』という発掘音源に収録されています。クリムゾンの『アイランズ(Islands)』に収録されている「レターズ(Letters)」の原曲が入っていたりして驚かされますが、これらを聴くとストリング・カルテット、ニッキー・ホプキンス(Nicky Hopkins)のキーボードとか、トロンボーン、女性ヴォーカルが入った『ザ・チアフル・インサニティ』が結構豪華なサウンドに聞こえてしまいます(笑)。それでキーボード&管楽器奏者のマクドナルドを加入させたわけですね。これでファースト・クリムゾンの面子に近くなってきました。『ブロンズベリー・テープス』に収録されている「風に語りて(I Talk To The Wind)」や「アンダー・ザ・スカイ(Under The Sky)」を聴くと、サウンドの方もかなりクリムゾンに近くなってきています。この時点で『宮殿』との違いはメロトロン(Mellotron)の導入、グレッグ・レイク(Greg Lake)の叙情的なヴォーカルとピアノの音が理想というベース・サウンドでしょうか。

『ザ・チアフル・インサニティ』と『クリムゾン・キングの宮殿』の間に『ブロンズベリー・テープス』という発掘音源がなかったら、GG&Fからキング・クリムゾンへの過程は突然変異としか言いようがなかったと思います。欲を言えば、半年以上かかったと言われる『宮殿』のレコーディング・ログを公開して欲しいんですが・・・フリップのことなので、きっと残していると思うんですけどね。それとも、これだけはブートの心配がないので出す時期を窺っているのか(笑)。この半年の間に、レコーディング・プロデューサが2人も首になったり、マネージャが自宅を抵当に入れたりといろいろなドラマがあったわけで、当初の頃と完成間近の頃の音の違いには興味があります。

そして・・・ちょっと前置き?が長くなりましたが、ついに永遠の名盤と言われる『クリムゾン・キングの宮殿』を聴きました。1曲目の「21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)」では、この面子ならではと言えるようなアンサンブルが展開され、まず度肝を抜かれます。続く「風に語りて」は、GG&Fの頃の管楽器が入ったフォーク・ロック調と違って、中世の重厚な建築美をイメージさせるような雰囲気に生まれ変わっています。そして3曲目の「エピタフ(Epitaph)」と5曲目のタイトル曲はシンフォニック・ロック(Symphonic Rock)のお手本という感じの、ひょっとしたら誰もが無意識のうちに期待しているようなサウンドを見事に具体化していて、涙が溢れるほどの感動を覚えました。おそらく、ファースト・アルバムの段階で、これほどまでに感動的な音楽を完璧に表現し切っているロックバンドは他に見当たらないでしょう。それと、この素晴らしい音楽を10代の多感な時期に聴けて本当に良かったとも思いました。

ふと気になったのは、こんな凄いものを聴いてしまったからにはもう他の何を聴いても感動しないのではないか・・・という不安でした。その後どうなったのかは、私の所有CDを眺めて想像してください(笑)。

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