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May 02, 2005

エデンの東

1969年にデビューしたイースト・オブ・エデン(East Of Eden)というバンドをご存知でしょうか?例によって、デッカ/デラム(Decca/Deram)レーベルの1500円モノとして売られていたのが目に止まってしまいました。このバンドはレコード屋で見かけるまでは何も先入観がありませんでした。それまでに知っていたアーティストとの関連が無かったからです、でもジャケットを見て、サイケでエレクトリックショックの強いプログレが好きだった私には、何となくピンと来るものがありました。

一言で言えば、イースト・オブ・エデンは暑苦しくて気だるいジャズ・ロック(Jazz Rock)を演奏するバンドです。この暑苦しさは中近東を感じさせるメロディや雰囲気から来るものでしょうか。彼らのサウンドから浮かんでくるのは、ジリジリと太陽が照り付ける砂漠地帯、古代遺跡の風景です。ファーストアルバム『世界の投影(Mercator Project)』の裏ジャケットには、そんな雰囲気を醸し出す彼らの写真も載っています。

バンド構成も当時としてはかなり特異なものでした。デイヴ・アーバス(Dave Arbus:ヴァイオリン、テナーサックス、フルート)、ロン・ケインズ(Ron Caines:ソプラノサックス、アルトサックス、オルガン)、ジョフ・ニコルソン(Geoff Nicholson:ギター、ヴォーカル)、スティーヴ・ヨーク(Steve York:ベース、ハモニカ)、デイヴ・デュフォント(Dave Dufont:ドラムス)の5人編成です。サウンドの特徴はサックスがメインであり、ヴァイオリンは間奏で強烈なソロを弾くというより、サックスとのユニゾンで曲に独特のトーンを付けるといった使い方になっています。セカンドアルバム『錯乱(Snafu)』ではベースとドラムスが交代してしまいましたが、スティーヴ・ヨークのベースプレイも独特の強靭なものでした。彼はその後、マンフレッド・マン・チャプター・スリー(Manfred Man Capter III)に(チャプター・スリーのファーストアルバムでも彼独特のベースプレイが炸裂しています)、デイヴ・デュフォントはケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)のバンドに参加しています。

ファーストアルバムのジャケットに写っている褐色の肌の女性は背中を向けていて、それがより神秘性を増長しています。4曲目の「半人半獣の女(Centaur Woman)」という曲(スティーヴ・ヨークが作曲)をイメージしたものと思われます。この曲の冒頭の効果音が絶品(笑)。他にも至る所にユーモア溢れる効果音が入っています。ジャケットといい、彼らのファッションといい、アルバム全体の曲の雰囲気といい、個々の演奏といい、とにかくトータルイメージを徹底的に追求したという感じです。追求し過ぎて、ファーストアルバムで完成してしまったという観もあります。

セカンドアルバムはファーストアルバムよりも洗練された印象です。これはリズムセクションの交代により、ファーストアルバムに比べてビートが強調されるようになった結果と思われます(ファーストアルバムではスティーヴ・ヨークのベースがリズムをぐいぐい引っ張っていた)。また、効果音もより無機質な透明感のあるものに変わってきています。中でも、2曲目「マーカス・ジュニア(Marcus junior)」でのヴァイオリンとソプラノサックスのユニゾンや、3曲目「禁断の果実(Ramadham)」の黒っぽい透明感溢れる雰囲気が素晴らしいところです。それに比べてアルバムの後半は、デヴィッド・ヒッチコック(David Hitchcook)のプロデュースだからかどうか分かりませんが、ちょっと詰め込み過ぎたような感じで、せわしなく曲が進行し、散漫な印象になっています。このあたりがちょっと残念なところです。

さて、ここまで思い出話をつらつらと書いてきましたが、このイースト・オブ・エデンというバンドを聴いて、私は初めてジャズ(Jazz)に興味を持ちました。それまでは管楽器の入ったバンドを意識的に避けてきたような気がするのですが、これ以後は逆に管楽器が入ったバンドを好んで聴くようになっていったと思います。イースト・オブ・エデンがその魅力を教えてくれたと言っても過言ではありません。そういう意味で、このバンドとの出会いは私が持つ音楽の価値観を大きく変更してしまったのです。

もしもイースト・オブ・エデンを聴いていなかったら、現在の所有CDの半分以上は別物になっていたと思います。

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